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菜食主義とは、健康、道徳、宗教などの理由から肉食を排する主義・思想のことです。単なる野菜食に限らず様々な流派が存在する。ベジタリアニズムを実践する人のことをベジタリアンといいます。


アメリカ栄養士学会の定義によると『ベジタリアンとは、動物性食品を避け、穀物、豆類、種実類、野菜、果物を中心に摂る人』です。中には肉類は摂らずに乳製品を摂ったり、魚類は食べるベジタリアンもいます。世界的なベジタリアンの増加に伴い詳細に名称の定義がなされています。


国によっては菜食主義はポピュラーな選択肢です。インドでは国民の31%がベジタリアンです。その他にアジアでは台湾が10%と多い。欧州ではイギリスが最も多く、2000年の調査では国民の9%がベジタリアンです。アメリカ大陸では、2000年の調査では、合衆国の成人の約2.5%が肉類や魚類を一切摂らず、ベジタリアンとしての食生活を維持しています。同年の調査でカナダでは成人の約4%がベジタリアンです。


 種類


国際ベジタリアン連合によると、厳格なベジタリアンは、鳥獣の肉、卵、魚介類およびそれらの副生成物(ラード、ヘット、ゼラチン、肉エキス、鰹節・鰯・エビなどの出汁、魚を殺傷して得た魚卵などを含む)が含まれるものを口にしませんが、動物の体を損傷せずに得られる乳および乳製品などは、摂る場合もあります。彼らは ラクト・ベジタリアン(野菜のほか、乳製品も食べる)、オボ・ベジタリアン(野菜のほか、卵も食べる)、ラクト・オボ・ベジタリアン(野菜のほか、乳製品と卵も食べる)と呼ばれます。


ただし、そうした乳製品、蜂蜜なども含む動物性の食品を一切摂らず、開発に動物実験を要した薬品や化粧品などの使用を避け、動物製品(皮革製品・シルク・ウール・真珠・珊瑚など)を身につけない者もあり、彼らはヴィーガンと呼ばれます。ヴィーガンは、20世紀半ばになってVeg (etari) anを短縮してつくられた造語です。日本語の菜食主義者のイメージは、むしろこのヴィーガンに近いかもしれません。


また自然食、有機栽培(オーガニック)食品を摂ることや、マクロビオティック(正食)などの運動をまとめて菜食主義と呼ぶ場合もあります。


ニンジンやレタスなど、収穫したら死んでしまう野菜を食べない人はフルータリアンと呼ばれます(果物、ナッツ類など、植物の生命に関わらない部分を食べる)。水などの液体食のみを摂取する人はリキッダリアンと呼び、さらに最近では、食べ物も時には水も飲まないブレサリアン(不水食者)と呼ばれる者も出てきました。科学的にはブレサリアンは生存できないはずですが、現実にそのような生活を送っているとする者もいます。しかし、ブレサリアンが厳密な生理学的検査に協力したことはほとんどないため、真のブレサリアンの存在を裏付ける科学的証拠はまだありません。


乳製品、卵の他に魚介類も食べる人を指すペスクタリアン、ペスコ・ベジタリアンまたはフィッシュ・ベジタリアン、家禽の肉も食べる人を指すポロ・ベジタリアンまたはチキン・ベジタリアンという用語もあります。日本ベジタリアン協会は彼らをもベジタリアンに含めていますが、上記の国際ベジタリアン連合のように彼らを準ベジタリアンとする意見もあります。結論として、哺乳類を全く食べない者であれば、なんらかのベジタリアンに類別できることになります。


インド料理の多くはベジタリアン(特にラクト・ベジタリアン)用に作られています。また仏教文化から発達した精進料理もベジタリアン料理の一種。台湾などでは素食(「粗食」ではない)と呼ばれます。ちなみに精進料理でニンニク、タマネギ等を使わないのは、俗にそれらが「精をつけ情欲を増大させる」ためと説明されることがありますが、本来の意義とは違います。そうした球根類は植物の「肉体」であり、動物の場合と同様に損なうことが避けられるからです。この考えによれば、植物の枝葉や根は動物の体毛や爪にあたるもの、ということになります。切られてもまた生えてくるので、食べても構わないとされます。加えて完全な菜食を続けると、人によっては刺激が強く、そのような物を受け付けない体質に変化することがあるのも理由に挙げられます。アジアン・ベジタリアンと呼ばれる、主に仏教系の影響のあるベジタリアンの場合には、野菜の中でも五葷(ごくん。にんにく、にら、らっきょう、ねぎあるいはたまねぎ、しょうがあるいは浅葱)は一般に食べません。


宗教改革以前からあるキリスト教の教派には、金曜日などの特定の曜日・四旬節・待降節などにベジタリアン的な料理を作り、断食を守る伝統があります。これを小斎・斎(ものいみ)等と呼びます。もっとも厳しい節制においては、カトリックでは肉、卵、乳製品が禁じられており、東方正教会ではさらに魚肉、オリーブ油(または植物油全般)も禁じられています。しかし、肉ではなく魚介であるという解釈のもとにベネズエラではカピバラ、アイルランドではカオジロガンなど水辺の鳥獣を食べてもよいとする例はありました。またカトリックにおいては20世紀後半から、この趣の節制は大幅に緩和されました。


菜食主義イメージ


 現代日本における「菜食主義」のイメージ


精進料理の思想では、「より高い精神性を獲得する(=精進する)ために、菜食を主体とした食事をとる」という面で、原義のベジタリアニズムに近いものを持ちます。しかし上述の「菜食主義(者)」という訳語の誤った印象もあり、ベジタリアニズムは近代以降の日本において一種の健康ブーム的な側面が強調され、正確に理解されていない面もあるようです。ひどい時にはただの偏食と同列に看做される場合さえあります。


また、近代以降の日本人は一般に、思想・信条等の違いについて無関心であるためか、細かな配慮に慣れておらず、食習慣の違いや食のタブーについても無頓着であることが多いです。あるテレビ番組では、厳格なベジタリアンのインド人に、獣脂や肉エキスなどが含まれている日本のカレーを勧める場面がありました。本人も気づいていないらしく、番組でそれ以上のコメントもなかったが、こういったことがトラブルの原因になることは現在も少なくありません。


こと食のタブーに絡んでは、日本国内でこれら食の文化に無頓着な傾向は根強く、宗教的観念の希薄さにも関連付けて見る事もできます。この問題はグローバリゼーションにも絡み、このような傾向を警戒する識者も見られます。


その一方で、伝統的日本食はコメ・大豆・野菜を中心に若干の魚類を配したものであり、欧米のようにことさらベジタリアニズムを言い立てる必要が元からなかった以上、食のタブーを今更強調することには無理があるという意見も存在します。


 健康ブーム


この他、ダイエットのような美容・健康面での理由から菜食に邁進する者もいますが、栄養学的知識が不十分なまま実践した場合、これが先に上がっている偏食に陥るケースも少なからず見られ、結果的に健康を害した者やその周囲の者が、菜食主義全般に否定的な態度を取る傾向すら見出されます。


栄養面での知識がない菜食は偏食以外のなにものでもないのですが、それ以前に菜食というスタイル自体が一種のファッション的な流行の中で、正しく理解されていない傾向も見られ、ファッション的で栄養学的な見地に基かないダイエットによる健康問題など、健康ブームからフードファディズムに及ぶ問題の一環も見え隠れしています。


[参考]ウィキペディア


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